Perplexity、7社とライセンス契約で収益分配開始

2025年10月04日

Perplexity、CNN等7社と月額5ドルのComet Plus開始
従来のページビューでなくAI利用に基づく収益分配モデル
AI検索による出版社収益減少問題への新たな解決策

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Comet Plusサービスで7大出版社とパートナーシップ締結

生成AI検索企業のPerplexityは2025年10月1日、月額5ドルのComet Plusサブスクリプションサービスを発表し、CNN、ワシントン・ポスト、コンデナスト、フォーチュン、ル・フィガロ、ル・モンド、ロサンゼルス・タイムズの7大出版社とライセンス契約を締結しました[1]。このサービスにより、ユーザーとAIアシスタントの両方が、プレミアムジャーナリズムコンテンツに直接アクセスできるようになります。

Comet Plusは単体で月額5ドルの料金設定となっており、PerplexityのProプランやMaxプランの加入者には追加料金なしで提供されます[1]。この戦略的な価格設定により、同社は既存の有料ユーザーに付加価値を提供しながら、新規ユーザーの獲得も狙っています。

この動きは、AI検索が従来のメディアビジネスモデルに与える影響への対応策として注目されます。従来の検索エンジンがユーザーを出版社のウェブサイトに誘導していたのに対し、AI検索は答えを直接提供するため、出版社のページビューが減少する問題が指摘されていました。Perplexityの取り組みは、この「AI検索による出版社収益の空洞化」という業界全体の課題に対する建設的な解決策と言えるでしょう。月額5ドルという手頃な価格設定も、ユーザーの受け入れやすさを考慮した戦略的な判断です。

従来のページビューモデルからAI利用ベースの収益分配へ

今回のライセンス契約では、出版社への報酬体系が従来のページビューベースから大幅に変更されています。新しいモデルでは、人間のエンゲージメント、AI相互作用、コンテンツ使用量に基づいて出版社に報酬が支払われます[1]。これは、AI時代における新しい価値測定方法を示すものです。

この収益分配モデルの変更は、AI検索によって出版社のウェブサイトへの直接的なトラフィックが減少している現状への対応策として設計されています。従来のデジタル広告モデルでは、ユーザーが実際にサイトを訪問することで収益が発生していましたが、AI検索では答えが直接提供されるため、この仕組みが機能しなくなっていました[1]。

この新しい収益分配モデルは、デジタルメディア業界における画期的な転換点と考えられます。従来の「クリック数＝収益」という単純な構造から、「コンテンツの価値と利用度＝収益」という、より本質的な価値評価システムへの移行を意味します。これは、質の高いジャーナリズムを提供する出版社にとってより公平な報酬体系となる可能性があります。AI相互作用を収益指標に含めることで、コンテンツが実際にどの程度AIシステムに活用され、ユーザーに価値を提供しているかを測定できるようになります。これは、単なるページビューでは測れない「情報の質」を評価する新しい指標として機能するでしょう。

AI検索市場での競争激化とブラウザ戦略

Perplexityは同時に、AI搭載ブラウザ「Comet」を全ユーザーに無料で提供開始しました[2]。以前は月額200ドルのMaxサブスクリプション加入者のみに限定されていたこのブラウザが、現在はデスクトップアプリケーションとして誰でも利用可能になっています[3]。

この戦略は、Google Chrome、Arc、Operaなどの既存ブラウザとの競争において、AI機能を差別化要因として位置づけるものです[2]。さらに、動画プラットフォームRumbleとの戦略的パートナーシップも発表され、Rumbleの株価は12%上昇するなど、市場からも好意的に受け止められています[4]。

Perplexityのブラウザ戦略は、AI検索市場における長期的な競争優位性の確立を狙った巧妙な手法です。無料でブラウザを提供することで、ユーザーをPerplexityのエコシステムに取り込み、その後有料サービスへの転換を図る「フリーミアム」モデルの典型例と言えます。特に注目すべきは、単なる検索エンジンではなく、ブラウザ全体をAI化することで、ユーザーのインターネット体験そのものを変革しようとしている点です。これは、Googleが検索とブラウザの両方で市場を支配している現状に対する直接的な挑戦であり、AI時代における新しいインターネット体験の提案として評価できます。Rumbleとの提携拡大も、コンテンツソースの多様化という観点で戦略的意味があります。

まとめ

Perplexityの今回の取り組みは、AI検索時代における出版社との共存モデルの構築という、業界全体が直面する課題への具体的な解決策を示しています。従来のページビューベースから、コンテンツの実際の価値と利用度に基づく収益分配モデルへの転換は、質の高いジャーナリズムを持続可能にする新しい仕組みとして期待されます。同時に、無料ブラウザの提供とライセンス契約の拡大により、同社はAI検索市場での競争力を着実に強化しています。