バフェット氏、AI関連2銘柄に680億ドル投資で人工知能市場への本格参入

2025年09月16日

バフェット氏がAppleとAmazonのAI関連投資で総額680億ドルを投入
Apple株が653億ドルでバークシャー・ハサウェイ最大のAI投資先に
95歳の投資の神様が伝統的な投資スタイルからAI重視へ戦略転換

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バフェット氏の680億ドルAI投資の全貌

ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、人工知能関連企業2社に総額680億ドルという巨額投資を行っていることが明らかになりました[1]。この投資額は同社の投資資産全体の22%以上を占める規模で、95歳の「投資の神様」が従来の保守的な投資スタイルから大きく舵を切ったことを示しています。

投資先の内訳は、Apple株が653億ドル、Amazon株が23億ドルとなっており、Appleがバークシャー・ハサウェイ史上最大の単一銘柄投資となっています[2]。バフェット氏は長年にわたり金融株や消費財株を中心とした投資を行ってきましたが、今回のAI関連投資は同氏の投資哲学における歴史的な転換点と言えるでしょう。

この投資決定は、まさに「老舗の和菓子屋が突然ハイテクスイーツに参入する」ような衝撃的な戦略転換です。バフェット氏といえば「理解できない事業には投資しない」という鉄則で知られていましたが、AI技術の社会への浸透度と将来性を深く理解した結果、この大胆な決断に至ったと考えられます。特に注目すべきは、投資額の規模です。680億ドルという金額は、日本の大手企業の時価総額に匹敵する規模で、バフェット氏がAI市場の成長ポテンシャルに対して並々ならぬ確信を抱いていることを物語っています。

Apple株への653億ドル投資の戦略的意味

バフェット氏のAI投資戦略の中核を成すのがApple株への653億ドルの投資です[1]。この投資判断の背景には、AppleのAI技術への取り組みだけでなく、同社が実施している史上最大規模の自社株買いプログラムも大きく影響しています。Appleは2013年以降、7960億ドル以上の自社株買いを実施し、発行済み株式数を44%削減しました[2]。

Appleの魅力は単なるAI企業としての側面を超えており、強固な顧客ロイヤルティと継続的な株主還元策が投資判断の重要な要素となっています。同社のAI技術は既存のiPhoneやMacといったデバイスに統合され、ユーザー体験の向上を通じて収益性の向上に直結する構造となっています[1]。

Appleへの巨額投資は、バフェット氏の「優れた企業を長期保有する」という基本哲学とAI時代への適応が見事に融合した事例と言えます。これは「伝統的な老舗料亭が最新の調理技術を導入しながらも、変わらぬ味とおもてなしの心を大切にする」ような戦略です。Appleの自社株買いプログラムは、バフェット氏にとって「配当を受け取らずとも、持ち株比率が自動的に上昇する」という理想的な投資環境を提供しています。さらに、AI技術の進歩により、iPhoneユーザーの機種変更サイクルが活性化される可能性も高く、長期的な収益成長の基盤が整っていると判断したのでしょう。

Amazon株とクラウドAI事業への期待

バフェット氏のもう一つのAI投資先であるAmazon株への23億ドル投資は、同社のクラウドコンピューティング事業Amazon Web Services（AWS）における生成AI技術の展開に着目したものです[2]。AmazonはAI技術をクラウドサービスに統合することで、企業顧客向けの付加価値を大幅に向上させており、この分野での競争優位性を確立しています。

AI市場全体の急成長を背景に、クラウドサービスプロバイダーとしてのAmazonの地位はさらに強固になると予想されています。特に生成AI技術の普及により、企業のデジタル変革需要が加速しており、AWSの収益成長に大きく寄与する見込みです[6]。

Amazon投資は「AI時代のインフラ整備業者に投資する」という極めて戦略的な判断です。これは「電気が普及し始めた時代に発電所や送電網に投資する」のと同じ発想で、AI技術を活用したい企業が必ず通る道筋に位置するビジネスモデルへの投資と言えます。AWSは単なるクラウドサービスから、AI開発・運用のプラットフォームへと進化しており、この変化がAmazon株の長期的な価値向上を支える重要な要素となっています。バフェット氏は、AI技術そのものよりも、AI技術を支える基盤事業の安定性と成長性に注目したのでしょう。

投資哲学の進化と後継者への影響

今回のAI投資は、バフェット氏が2025年末までにCEOを退任し、グレッグ・アベル氏に後継者を譲る予定の中で実行されました[4]。この投資決定は、バークシャー・ハサウェイの将来の投資戦略に大きな影響を与える可能性があります。バフェット氏の集中投資手法は歴史的に一貫しており、1981年から2024年までの期間で最大保有銘柄が総資産に占める割合は平均18%でした[7]。

現在のApple株の保有比率は総資産の約18%となっており、これは歴史的な集中度と比較して決して異常な水準ではありません[7]。むしろ、AI技術という成長分野への戦略的投資として、後継者世代への重要な道筋を示していると考えられます。

この投資決定は「老舗企業の創業者が次世代経営陣に向けて、時代の変化に対応する重要性を身をもって示した」象徴的な出来事です。バフェット氏は単にAI株を購入したのではなく、「変化する時代において、伝統的な投資原則を保ちながらも、新しい成長分野を見極める重要性」を後継者に伝えているのです。グレッグ・アベル氏にとって、この680億ドルのAI投資は貴重な学習機会であり、将来のバークシャー・ハサウェイの投資戦略の基盤となるでしょう。投資の神様から次世代への最後の大きな贈り物と言えるかもしれません。