バフェット氏、3000億ドルポートフォリオの24%をAI関連3銘柄に集中投資

2025年10月20日

バークシャー・ハサウェイの3000億ドルポートフォリオの24%がAI関連3銘柄に集中
アップル株が23.1%を占め、圧倒的な最大保有銘柄として君臨
3440億ドルの現金保有と対照的な、選別された大型AI株への戦略的投資

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投資の神様が選んだAI関連3銘柄の正体

ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、総額3000億ドルのポートフォリオの24%をAI関連の3銘柄に集中投資していることが明らかになりました[1]。この中でも特に注目すべきは、アップル株が全体の23.1%という圧倒的な比重を占めていることです。これは同社の投資戦略における大きな転換点を示しています。

残りの2銘柄にはアマゾンが含まれており、バフェット氏自身が認めているように、この投資は彼の投資マネージャーによる判断でした[4]。アマゾンのAI技術における先導的地位が、投資判断の重要な要因となっています。第3の銘柄については明示されていませんが、これらの集中投資は従来のバリュー投資家としてのバフェット氏のイメージを大きく変える動きといえるでしょう。

この24%という数字は、バフェット氏の投資哲学の進化を物語っています。従来の「理解できるビジネスにのみ投資する」という原則を、AI時代に適応させた結果といえるでしょう。アップルを単なるテクノロジー企業ではなく、消費者ブランドとして捉え、そのエコシステムにAI機能が組み込まれることで、より強固な競争優位性を築くと判断したのです。まるで昔ながらの城壁都市が、最新の防衛システムを導入するようなものです。

3440億ドルの現金保有が示すバフェット氏の慎重姿勢

一方で、バークシャー・ハサウェイは2025年第2四半期時点で3440億ドルという史上最高額の現金を保有しています[2]。これは過去2年間にわたってS&P500が史上最高値圏で推移する中、バフェット氏が株式の純売り越しを続けてきた結果です。この巨額の現金保有は、現在の市場が割高であるという彼の警告メッセージと解釈されています。

最近の大型投資としては、オクシデンタル・ペトロリアムの化学事業を約100億ドルで買収することに合意しましたが、これは現金保有額の3%未満にすぎません[2]。また、シェブロン株を5億2159万ドル分購入するなど、選別的な投資活動は続けているものの、全体的には極めて慎重な姿勢を維持しています[3]。

この現金保有戦略は、バフェット氏の「他人が貪欲な時に恐れ、他人が恐れている時に貪欲になれ」という有名な格言を体現しています。AI関連株への集中投資と巨額現金保有という一見矛盾する戦略は、実は非常に合理的です。既に保有するAI関連株は長期的な競争優位性を持つ企業として確信を持っているが、新規投資については市場全体の過熱を警戒しているのです。これは経験豊富な船長が、嵐の前に港で待機しながらも、信頼できる船だけは出港させるような判断といえるでしょう。

AI投資ブームとバフェット流価値投資の融合

現在のAI株式市場では、SoundHound AIが目標株価を18ドルから26ドルに44%引き上げられるなど、小型AI関連株に対する投機的な動きが活発化しています[6]。また、量子コンピューティング株は、JPモルガン・チェースの100億ドル戦略技術投資発表を受けて約20%上昇するなど、具体的な投資先が明示されていないにも関わらず大幅な値上がりを見せています[7]。

こうした投機的な動きとは対照的に、バフェット氏のAI投資は確立された大型テクノロジー企業に集中しています。アップルやアマゾンといった企業は、既に収益性の高いビジネスモデルを持ち、AI技術をそれらの既存事業に統合することで競争優位性を強化している点が評価されています[4]。商業的な量子コンピューティングの実用化が2030年と予測される中、バフェット氏は現在すでに収益を上げているAI関連事業に注目しているのです。

バフェット氏のAI投資アプローチは、「AI革命の恩恵を受けながらも、投機的リスクを避ける」という絶妙なバランスを示しています。新興AI企業への投資は宝探しのようなもので、大きなリターンの可能性がある一方で、多くが失敗に終わるリスクがあります。一方、アップルやアマゾンへの投資は、既に成功している事業にAIという新しいエンジンを搭載するようなものです。これは、実績のある料理人が新しい調味料を使って既存のレシピを改良するのと似ています。結果の予測可能性が高く、失敗のリスクが低いのです。

まとめ

バフェット氏のポートフォリオにおけるAI関連株への24%集中投資は、彼の投資哲学の進化を示す重要な指標です。従来のバリュー投資の原則を維持しながら、AI時代の成長機会を確実に捉える戦略的判断といえるでしょう。3440億ドルの現金保有と合わせて考えると、選別的かつ長期的な視点での投資姿勢が鮮明に浮かび上がります。