Cathie Wood、AI株1850万ドル購入でポートフォリオ戦略を転換

2025年06月20日

ARK InvestがNVIDIA株を1850万ドル購入、AI分野への集中投資を加速
Circle株1億ドル売却でAI投資への資金再配分を実施
TeslaをAI企業として最重要視、Palantir5億ドル保有を上回る評価

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ARK Invest、AI分野への大規模投資でポートフォリオを再構築

著名投資家キャシー・ウッド氏率いるARK Investが、AI関連株への投資を大幅に拡大しています。同社は最近、人気の高いAI株に1850万ドルの大型投資を実行し、破壊的技術への長期投資戦略を継続していることを示しました[1]。この投資は、ARK Innovation ETF（ARKK）が年初来15.9%の上昇を記録し、S&P 500を上回るパフォーマンスを見せている中で行われています。

同時に、ARK Investは戦略的なポートフォリオ再編を進めており、Circle株を1億ドル規模で売却してAI分野への資金再配分を実施しています[5]。この動きは、暗号通貨関連投資からAI技術への戦略的シフトを明確に示しており、ウッド氏の投資哲学である「次世代の成長分野への集中投資」を体現しています。

この大規模な資金再配分は、AI革命の次段階に向けた戦略的な布石と考えられます。従来の暗号通貨投資で培った高リスク・高リターン投資の経験を活かし、AI分野でも同様の成功を狙っているのでしょう。特に注目すべきは、単純な技術投資ではなく、産業構造を根本から変革する可能性のある企業への集中投資という点です。これは、テスラやビットコインへの初期投資で成功を収めた同社の投資パターンと一致しており、AI分野でも同様の先見性を発揮する可能性があります。

NVIDIA購入の背景とBlackwell GPU戦略

今回の1850万ドルの投資先として特定されているのがNVIDIA株です[3]。ARK InvestはNVIDIAをAIチップ分野のリーダーとして位置づけ、特に次世代Blackwell GPUの普及に注目しています。テクニカル分析では、100-110ドルの価格帯を戦略的なエントリーポイントとして監視しており、長期的な成長ポテンシャルを重視した投資判断を行っています。

この投資判断は、ARKの過去の成功パターンである「破壊的技術への早期投資」と一致しています。テスラやビットコインへの初期投資と同様に、市場が本格的に注目する前の段階でのポジション構築を狙っているとみられます[3]。ただし、ARKKファンドは過去5年間でマイナスリターンを記録しており、高いボラティリティを伴う投資戦略であることも事実です。

NVIDIAへの投資は、AI インフラストラクチャの根幹を押さえる戦略として非常に理にかなっています。これは、インターネット黎明期にシスコシステムズが「インターネットの配管工事」として重要な役割を果たしたのと同様の位置づけです。Blackwell GPUは、従来のデータセンター向けGPUを大幅に上回る性能を持ち、大規模言語モデルの訓練や推論処理において革命的な効率向上をもたらす可能性があります。ウッド氏がこのタイミングでNVIDIAに大型投資を行うのは、AI競争の次段階で必要不可欠なインフラを早期に押さえる戦略と解釈できるでしょう。

Tesla重視戦略：Palantirを上回るAI企業としての評価

興味深いことに、ウッド氏はPalantir株を5億ドル保有しているにも関わらず、TeslaをAI分野で最も重要な企業として位置づけています[2]。この評価は、Teslaの自動運転技術とロボタクシー事業への期待に基づいており、従来の自動車メーカーという枠を超えたAI企業としての可能性を重視していることを示しています。

Teslaは2025年後半にロボタクシーサービスの本格展開を予定しており、これがAI分野での大きな成長機会となる可能性があります[4]。電気自動車市場の成長鈍化が懸念される中で、AI技術を活用した新たなビジネスモデルへの転換が期待されています。ウッド氏の年次レポート「Big Ideas」での研究に基づく逆張り投資戦略が、この判断の背景にあるとみられます。

Teslaへの注目は、AI技術の実用化という観点で非常に戦略的です。多くのAI企業がソフトウェアやクラウドサービスに集中する中で、Teslaは物理世界でのAI応用を大規模に展開する数少ない企業の一つです。自動運転技術は、単なる移動手段の自動化を超えて、都市交通システム全体の最適化や新たなモビリティサービスの創出につながる可能性があります。これは、スマートフォンがコミュニケーション手段を革命的に変えたのと同様のインパクトを持つかもしれません。ウッド氏がPalantirよりもTeslaを重視するのは、このような社会インフラレベルでの変革ポテンシャルを評価しているからでしょう。

まとめ

キャシー・ウッド氏のAI投資戦略は、単なる技術株投資を超えて、社会構造を変革する可能性のある企業への集中投資という明確なビジョンを持っています。NVIDIA、Tesla、Palantirという異なる角度からAI革命にアプローチする企業群への投資は、包括的なAI エコシステムへの賭けと言えるでしょう。過去の成功と失敗の経験を活かし、次世代の成長分野での先行者利益を狙う同氏の投資哲学が、AI分野でどのような結果をもたらすか注目されます。