不動産ウィル、生成AIでマンション価格査定をLINE提供開始

2025年06月14日

不動産のウィルが生成AIを活用したマンション価格査定サービスをLINE上で開始
従来の売出価格ではなく自社の実際の成約データを基にした正確な価格算出を実現
現在はマンションのみ対象だが年末までに戸建てや土地にも拡大予定

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実成約データに基づく革新的な価格査定システム

不動産のウィル（宝塚市）は、生成AIを活用したマンション価格査定サービスをLINE上で試用版として開始しました[1]。このサービスの最大の特徴は、従来の売出価格ベースの査定とは異なり、自社が蓄積してきた実際の成約額データを基にした価格算出を行うことです。六甲道駅周辺の具体例では、60平米台の築22年マンションが平均3228.3万円で成約されているといった詳細な市場データが活用されています[3]。

同社の公式サイトでは、大阪市北区を中心に169件の物件情報を提供しており、検索条件設定機能と価格推定機能を組み合わせたシステムが確認できます[2]。このような豊富な実データの蓄積が、生成AIによる精度の高い価格査定を可能にしています。

従来の不動産査定は「売出価格」を基準としていましたが、これは実際の取引価格とは大きく乖離することが多く、消費者にとって参考になりにくいという課題がありました。例えば、売主が高めに設定した希望価格と、実際に買い手がつく価格には数百万円の差が生じることも珍しくありません。ウィルの新サービスは、この「理想と現実のギャップ」を埋める画期的な取り組みと言えるでしょう。生成AIが過去の成約データを学習することで、市場の実態により近い価格を提示できるようになったのです。

LINEプラットフォームによる利便性向上

このサービスの革新的な点は、LINEという身近なプラットフォーム上で提供されることです。従来の不動産査定では、複数の不動産会社に個別に連絡を取り、訪問査定を依頼する必要がありましたが、LINE上での試用版サービスにより、ユーザーは手軽に価格査定を受けることができるようになりました[1]。

公式サイトの機能を見ると、物件の詳細な検索条件設定が可能で、リフォーム済み物件の価格推定機能も実装されています[2]。これらの機能がLINE上でも利用できるようになることで、不動産取引のデジタル化が大きく進展することが期待されます。

LINEを活用したサービス展開は、不動産業界のDX（デジタルトランスフォーメーション）において重要な意味を持ちます。不動産査定という専門性の高いサービスを、日常的に使用するコミュニケーションツール上で提供することで、心理的なハードルが大幅に下がります。これは、銀行がATMを街中に設置したことで金融サービスが身近になったのと同様の変化と言えるでしょう。特に若い世代にとって、LINEでの不動産査定は「当たり前」のサービスとして受け入れられる可能性が高く、不動産取引の民主化につながる重要な一歩となるでしょう。

サービス拡大計画と市場への影響

現在のサービスはマンションのみを対象としていますが、同社は年末までに戸建てや土地にも対象を拡大する予定です[1]。この拡大により、不動産市場全体でのAI活用が本格化することが予想されます。既存サービスの精度向上も目的の一つとされており、継続的な改善が図られる見込みです。

六甲道駅周辺では40件の物件データに加えて非公開物件の検索機能も実装されており[3]、サービスの包括性が確認できます。このような詳細なデータ分析により、地域特有の価格変動要因も考慮した査定が可能になっています。

不動産業界における生成AI活用の本格化は、業界構造そのものを変革する可能性を秘めています。従来は不動産のプロフェッショナルが持つ「経験と勘」に依存していた価格査定が、データドリブンなアプローチに移行することで、より透明性の高い市場が形成されるでしょう。これは消費者にとって大きなメリットですが、同時に従来の不動産仲介業者にとっては競争環境の激化を意味します。今後は、AIでは提供できない付加価値サービス（例：地域の生活環境に関する詳細な情報提供や、個別のライフスタイルに合わせたコンサルティング）の重要性が高まることが予想されます。