- キオクシアがAI・HPC向け最大61TBの新型SSD「CD9P」を発表
- CBA技術により従来比60%のリード性能向上とエネルギー効率改善を実現
- HPEとの連携でAI準備インフラ構築を支援、サンプリング供給開始
革新的CBA技術で実現する大幅な性能向上
キオクシアは2025年6月、生成AI・HPC(高性能計算)向けデータセンター用NVMe SSD「CD9Pシリーズ」の開発を発表しました[1]。同製品は第8世代BiCS FLASH技術とCBA(Charge Balanced Architecture)アーキテクチャを採用し、従来モデルと比較して劇的な性能向上を実現しています。
15.36TBモデルでは、シーケンシャルリード効率が従来比60%向上し、書き込み効率も45%改善されました[3]。さらに注目すべきは、ランダムIOPSにおいて読み取りで55%、書き込みで100%という大幅な性能向上を達成している点です。これらの改善により、GPU計算リソースの空き時間を最小化し、AI・機械学習ワークロードの効率を最大化できます。
最大容量61TBという大容量化も実現しており、従来モデルの約2倍の容量を単一SSDで提供します[5]。この大容量化により、大規模データセット処理において物理的なストレージ数を削減でき、データセンターの設置効率向上に貢献します。
CBA技術は、従来のNANDフラッシュメモリが抱えていた電荷バランスの問題を解決する革新的なアプローチです。簡単に例えると、従来技術が「片方に重い荷物を載せたシーソー」のような不安定な状態だったのに対し、CBA技術は「両側に均等に荷物を配置したシーソー」のような安定した状態を実現します。この安定化により、データの読み書き速度が向上し、同時にエネルギー消費も削減できるのです。AI処理では大量のデータを高速で処理する必要があるため、この技術革新は特に重要な意味を持ちます。
エネルギー効率と熱設計の最適化でデータセンター運用コスト削減
CD9Pシリーズの最大の特徴の一つは、CBA技術による熱発生量の大幅な削減です[4]。従来のSSDでは高性能化に伴い発熱量が増加し、データセンターの冷却コストが課題となっていました。新製品では、この熱発生を抑制しながら性能向上を実現しています。
PCIe 5.0対応とTLC 3Dフラッシュ技術の採用により、データ転送速度の向上と同時にエネルギー効率も改善されています[1]。これにより、データセンター全体の電力消費量削減と冷却設備の負荷軽減が期待できます。特にAI・HPC環境では24時間連続稼働が前提となるため、この効率改善は運用コストに直接的な影響を与えます。
面積効率の向上も重要な改善点です。61TBという大容量を単一SSDで実現することで、ラック当たりのストレージ密度が向上し、データセンターの設置効率が大幅に改善されます[6]。これは特に都市部の高額な不動産コストを考慮すると、長期的な運用コスト削減に大きく貢献します。
データセンターの運用コストにおいて、電力と冷却は全体コストの30-40%を占めると言われています。キオクシアの新技術は、まさにこの最大のコスト要因に直接アプローチしています。例えば、従来100台のSSDが必要だった環境を50台で実現できれば、単純に電力消費は半減し、発熱量も削減されるため冷却コストも下がります。さらに、物理的な設置スペースも半分になるため、不動産コストも削減できます。これは「一石三鳥」の効果と言えるでしょう。AI ブームによりデータセンターの需要が急増している現在、このような効率改善技術の価値は計り知れません。
HPEとの戦略的パートナーシップでAI インフラ構築を加速
キオクシアはHPE(Hewlett Packard Enterprise)との連携を強化し、CD9PシリーズをHPE ProLiantサーバー向けに最適化しています[2]。この戦略的パートナーシップにより、企業のAI準備インフラ構築を包括的に支援する体制を構築しています。
HPE Discover Las Vegas 2025では、PCIe 5.0やEDSFF(Enterprise and Data Center SSD Form Factor)フォームファクター対応SSDの実演が予定されており、実際の動作環境での性能を確認できます[2]。サンプリング供給も既に開始されており、顧客企業による実環境での評価が可能となっています。
興味深い実用事例として、国際宇宙ステーション(ISS)上のHPE Spaceborne Computer-2プロジェクトに130TBのキオクシアSSDが採用されていることが紹介されています[3]。この極限環境での実用実績は、地上のデータセンターでの信頼性を証明する重要な事例となっています。
HPEとの連携は、キオクシアにとって単なる販売チャネルの拡大以上の意味を持ちます。HPEは企業向けサーバー市場で強固な地位を築いており、その顧客基盤を通じてキオクシアの技術が広く普及する可能性があります。これは「技術の民主化」とも言える現象で、従来は大手テック企業のみが利用できた最先端ストレージ技術が、中小企業でも利用可能になることを意味します。ISS での実用事例は、まさに「宇宙でも使える技術なら地上では確実に動作する」という信頼性の証明となり、企業の導入判断を後押しする強力な材料となるでしょう。
まとめ
キオクシアのCD9Pシリーズは、AI・HPC市場の急速な成長に対応する革新的なストレージソリューションです。CBA技術による性能向上とエネルギー効率改善、最大61TBの大容量化、そしてHPEとの戦略的パートナーシップにより、企業のAI インフラ構築を包括的に支援します。データセンターの運用コスト削減と性能向上を同時に実現する本製品は、AI時代のストレージ技術の新たな標準となる可能性を秘めています。
参考文献
- [1] Kioxia Broadens 8th Generation BiCS FLASH™ SSD Portfolio with High-Performance Data Center NVMe SSDs to Maximize GPU Utilization in AI and HPC Workloads
- [2] KIOXIA Highlights Flash Storage Solutions for What’s Next in Cloud, AI, and Beyond at HPE Discover Las Vegas 2025
- [3] KIOXIA Broadens 8th Generation BiCS FLASH SSD Portfolio with High-Performance Data Center NVMe SSDs to Maximize GPU Utilization in AI and HPC Workloads
- [4] Kioxia Expands 8th Gen BiCS FLASH SSD Line for AI and HPC-Driven Data Centres
- [5] Kioxia CD9P SSD Offers Up to 61TB PCIe 5.0 Enterprise SSD with BiCS 8 NAND
- [6] Kioxia CD9P SSD Offers Up to 61TB PCIe 5.0 Enterprise SSD with BiCS 8 NAND
*この記事は生成AIを活用しています。*細心の注意を払っていますが、情報には誤りがある可能性があります。