LayerX、150億円調達でAIエージェント事業拡大・エンジニア採用強化へ

2025年09月02日

LayerXがシリーズBで150億円を調達、TCV主導で初の日本投資
2030年までにAIエージェント事業で500億円売上目標を設定
エンジニア採用強化で2028年度までに従業員1000人体制構築

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TCV主導による過去最大規模の資金調達

LayerXは2025年9月2日、シリーズBラウンドにて150億円の資金調達を完了したと発表しました[1]。今回のラウンドは、Netflix、Spotify、ByteDanceなどの世界的テック企業への投資で知られる米国のグロース・エクイティファンドTCVが主導しており、同社にとって初の日本スタートアップへの投資となります[2]。

投資家には三菱UFJ銀行、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、コアライン・ベンチャーズ、ジャフコグループ、キーロック・キャピタル・マネジメント、JP投資が参加し、LayerXの累計調達額は282億円に達しました[2]。この大型調達により、同社は「Bet AI（全てをAIに賭ける）」戦略を本格的に推進する体制を整えました[3]。

TCVの日本初投資は、国内スタートアップエコシステムにとって象徴的な出来事です。同ファンドは世界的なテック企業の成長を支えてきた実績があり、LayerXへの投資は日本のAI市場の成長ポテンシャルを世界が認めた証拠と言えるでしょう。特に、グローバルな視点でのスケーラビリティや技術力が評価されたと考えられ、今後の日本発AIスタートアップの海外展開にも良い影響を与える可能性があります。

AIエージェント事業で2030年に500億円売上目標

LayerXは今回の調達を機に、2030年までにARR（年間経常収益）1000億円の達成を目標として掲げました。そのうち500億円をAIエージェント事業から創出する計画です[1]。同社のCTO松本勇気氏は、将来的には数千から数万のAIエージェントが人間と協働する職場環境の実現を描いています[3]。

現在、同社が運営する「バクラク」は15,000社に導入されており、経費精算や請求書処理などのバックオフィス業務の自動化を支援しています[1]。さらに、企業向けAI・LLMプラットフォーム「Ai Workforce」を通じて、より高度なAIソリューションの提供を拡大していく方針です[1]。

AIエージェント市場は今後急速な成長が予想される分野ですが、LayerXの500億円という目標は非常に野心的です。これは単なる数値目標ではなく、日本の労働生産性向上という社会課題の解決に直結する取り組みでもあります。特に人手不足が深刻化する中、AIエージェントが人間の業務を補完・代替することで、企業の競争力向上と働き方改革の両立が可能になります。ただし、この目標達成には技術革新だけでなく、企業文化の変革や法制度の整備も必要となるでしょう。

エンジニア採用強化で組織拡大を加速

調達した資金の主要な用途として、LayerXはエンジニアの採用強化を最優先に掲げています[2]。同社は2028年度までに従業員数を1000人規模まで拡大する計画を発表しており、特に技術人材の確保に重点を置いています[3]。AIによる生産性向上を通じて、グローバル水準の競争力のある報酬体系の構築も目指しています[2]。

同社は「すべての経済活動をデジタル化する」というミッションの下、AI中心のソフトウェア体験を社会全体に実装することを目標としています[4]。この壮大なビジョンの実現には、優秀なエンジニアの確保が不可欠であり、今回の大型調達がその基盤となります。

日本のテック業界では優秀なエンジニアの獲得競争が激化していますが、LayerXの1000人体制構築は業界全体に大きなインパクトを与えるでしょう。特に注目すべきは、AIによる生産性向上を前提とした報酬体系の構築です。これは従来の日本企業の人事制度とは一線を画すアプローチで、成果に応じたグローバル水準の報酬を実現できれば、国内外から優秀な人材を引きつける強力な武器となります。ただし、急速な組織拡大には企業文化の維持や品質管理の課題も伴うため、慎重な成長戦略が求められます。

三菱UFJ銀行との戦略的パートナーシップで事業加速

LayerXは資金調達と同時に、三菱UFJ銀行との戦略的パートナーシップも締結しました[4]。このパートナーシップは既存のバクラク連携を超えて、Ai Workforceプラットフォームの活用による組織変革支援や新規事業創出の探索に焦点を当てています[4]。

金融機関との連携により、LayerXは日本の経済活動のデジタル化という使命をより効果的に推進できる体制を構築しました[5]。この協業は金融業界の競争力強化だけでなく、日本全体の生産性向上と経済のデジタル化に貢献することが期待されています[4]。

金融機関との戦略的パートナーシップは、LayerXのAIエージェント事業にとって極めて重要な意味を持ちます。金融業界は規制が厳しく保守的な傾向がある一方で、デジタル変革の必要性も高い分野です。三菱UFJ銀行という日本最大級の金融機関との連携により、LayerXは実証実験から本格導入まで、リアルなビジネス環境でAI技術を磨くことができます。また、金融機関のネットワークを活用することで、他の企業への展開も加速するでしょう。これは単なる顧客獲得を超えた、日本経済全体のAI化を推進する戦略的な取り組みと言えます。