Meta、799ドルのスクリーン搭載AI眼鏡で次世代ウェアラブル市場参入

2025年09月19日

Metaが初のディスプレイ搭載スマートグラス「Ray-Ban Display」を799ドルで発表
600×600解像度の右レンズディスプレイと神経バンド制御システムを搭載
9月30日米国発売開始、2026年初頭に欧州・カナダ展開予定

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Meta初のAR機能搭載スマートグラス「Ray-Ban Display」登場

Metaは2025年9月17日のConnect 2025イベントにて、同社初となるディスプレイ搭載スマートグラス「Ray-Ban Display」を発表しました[1]。価格は799ドル（約12万円）に設定され、9月30日から米国市場で販売開始となります。この製品は、従来のRay-Ban Metaシリーズとは異なり、右レンズに600×600解像度のディスプレイを内蔵した本格的な拡張現実（AR）機能を備えています[2]。

注目すべきは、この価格にMeta Neural Bandと呼ばれる筋電図（EMG）リストバンドが含まれている点です[3]。このバンドは腕の筋肉の動きを検知し、眼鏡の操作を可能にする革新的な制御システムとなっています。Meta CTOのアンドリュー・ボズワース氏は、これを「スマートグラス分野における初の本格的な製品」と位置づけています[4]。

Metaのこの戦略は、Google Glassの失敗やApple Vision Proの高価格帯での苦戦を踏まえた巧妙な市場参入と言えるでしょう。799ドルという価格設定は、高級スマートフォン程度の価格帯に抑えながら、本格的なAR機能を提供するバランスの取れた戦略です。特に、Ray-Banブランドとの協業により、ファッション性と機能性を両立させた点は、一般消費者への普及において重要な要素となります。Neural Bandという新しい操作方法の導入も、従来の音声操作やタッチ操作の限界を超える可能性を秘めています。

技術仕様と実用性を重視した設計思想

Ray-Ban Displayの技術仕様は実用性を重視した設計となっています。ディスプレイは90Hzのリフレッシュレートを持つ600×600解像度で、20度の視野角を提供します[2]。重量は69グラムに抑えられ、処方箋レンズにも対応しています。バッテリー持続時間は連続使用で6時間、充電ケースと合わせて最大30時間の使用が可能です[2]。

カメラ機能も強化されており、12メガピクセルのカメラに3倍ズーム機能を搭載しています[2]。これにより、日常的な撮影から詳細な記録まで幅広い用途に対応できます。また、Meta Neural Bandとの連携により、従来のスマートフォン操作の多くを眼鏡とリストバンドで完結できる設計となっています。

これらの仕様を見ると、Metaが「日常使いできるAR眼鏡」を真剣に目指していることが分かります。69グラムという軽量設計は、通常の眼鏡とほぼ変わらない装着感を実現しており、長時間の使用でも疲労を最小限に抑えられるでしょう。6時間の連続使用時間は、通勤や外出時の使用には十分な長さです。特に注目すべきは、処方箋レンズ対応という点で、これにより既存の眼鏡ユーザーも違和感なく移行できます。カメラの3倍ズーム機能は、遠くの看板や標識を読む際に非常に実用的で、視覚補助としての価値も高いと考えられます。

販売戦略と市場展開計画

Metaは販売チャネルとして、Ray-Ban直営店、LensCrafters、Best Buy、Verizonなどの主要小売店との提携を発表しています[4]。米国での9月30日発売に続き、2026年初頭にはカナダ、フランス、イタリア、英国への展開を予定しています[1]。認定小売店では実機のデモンストレーションも体験可能となる予定です。

この販売戦略は、GoogleやAppleとの競争において重要な位置づけとなります[4]。特に、既存の眼鏡販売チャネルを活用することで、従来のテクノロジー製品とは異なる顧客層へのアプローチが可能になります。また、実店舗での体験機会を提供することで、新しい製品カテゴリーに対する消費者の不安を軽減する狙いもあります。

Metaの販売戦略は非常に戦略的です。LensCraftersのような眼鏡専門店との提携により、「眼鏡を買い替える」という既存の消費行動パターンに自然に組み込むことができます。これは、全く新しい製品カテゴリーを創造するよりもはるかに現実的なアプローチです。Best BuyやVerizonとの提携は、テクノロジーに敏感な消費者層へのリーチを確保し、実機体験の機会を提供することで購入への心理的ハードルを下げる効果があります。段階的な地域展開も、初期の市場反応を見ながら製品やサービスを改善できる賢明な戦略と言えるでしょう。

まとめ

Metaの799ドルRay-Ban Displayは、スマートグラス市場における重要な転換点となる可能性を秘めています。適切な価格設定、実用的な技術仕様、そして戦略的な販売チャネルの組み合わせにより、これまで普及が困難だったAR眼鏡の大衆化への道筋を示しています。Neural Bandという革新的な操作方法の導入も、ウェアラブルデバイスの新たな可能性を切り開くものです。2026年の国際展開を経て、次世代ウェアラブル市場におけるMetaの存在感は大きく高まることが予想されます。