Microsoft四半期売上高764億ドル、AI投資効果で過去最高益を達成

2025年07月31日

Microsoft四半期売上高764億ドル、前年同期比18%増で過去最高
Azure年間売上高750億ドル突破、AI需要でクラウド事業急成長
次四半期AI投資300億ドル計画、長期収益化戦略を推進

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過去最高の四半期業績、AI・クラウド事業が牽引

Microsoftは2025年度第4四半期（2025年4月-6月期）の決算で、売上高764億ドル（前年同期比18%増）、純利益272億ドルという過去最高の業績を発表しました[1]。この結果は、ウォール街の予想738億ドルを大幅に上回り、同社株価は時間外取引で7.5%急騰しました[2]。年間売上高は2,817億ドルに達し、サティア・ナデラCEOは「クラウドとAIがあらゆるビジネスの必須要素となっている」と述べ、同社の戦略的投資の成果を強調しました。

特に注目すべきは、Azure（アジュール）クラウドサービスの急成長です。Azureの年間売上高は750億ドルに達し、前年同期比34%の成長を記録しました[3]。四半期ベースでは39%の成長率を示し、市場予想の34%を大幅に上回る結果となりました。クラウド全体の売上高は467億ドル（前年同期比27%増）となり、Microsoftの収益構造におけるクラウド事業の重要性が一層鮮明になりました。

この業績は、Microsoftが数年前から推進してきた「クラウドファースト、AIファースト」戦略の成果が結実したことを示しています。特に興味深いのは、Azure単体で年間750億ドルという規模に達したことです。これは日本の大手IT企業の年間売上高に匹敵する規模で、Microsoftがいかに巨大なクラウドプラットフォームを構築したかがわかります。また、予想を上回る成長率は、企業のデジタル変革（DX）需要とAI導入が想定以上に加速していることを物語っています。

AI需要急増でインフラ投資を大幅拡大

Microsoftは、急増するAI需要に対応するため、2026年度第1四半期（2025年7月-9月期）に過去最高となる300億ドル以上の設備投資を計画していることを明らかにしました[4]。この投資の50%以上は、15年以上の長期運用を想定したAI・クラウドインフラ資産に充てられる予定です。同社は年間800億ドルの設備投資ガイダンスを維持しており、競合のAmazon（推定1,110億ドル）やGoogle（850億ドル）と激しい投資競争を繰り広げています。

一方で、この急速な成長には課題も伴っています。決算説明会では、Azureの容量制約やクラウド事業の粗利益率が2ポイント低下したことが報告されました[5]。これは、AI向けインフラの構築コストが短期的に収益性に影響を与えていることを示しています。また、同社は第4四半期に6,300人、2026年度初頭にさらに9,000人の人員削減を実施し、AI投資への資源集中を図っています。

300億ドルという四半期投資額は、まさに「AI軍拡競争」の激しさを物語っています。これは日本の国家予算の一部門に匹敵する規模で、テック大手各社がAI覇権をかけていかに巨額の投資を行っているかがわかります。興味深いのは、投資の半分以上が15年以上の長期資産だという点です。これは、AIインフラが一時的なブームではなく、長期的な収益基盤になると同社が確信していることを示しています。ただし、容量制約や利益率低下は、需要の急激な伸びに供給が追いついていない状況を表しており、今後の事業運営における重要な課題となりそうです。

株主還元と将来展望、4兆ドル企業への道筋

好調な業績を背景に、Microsoftは第4四半期に94億ドル、年間では370億ドルを株主に還元しました[1]。商業部門の契約残高は1,000億ドル（前年同期比37%増）に達し、将来の収益基盤の強固さを示しています。市場では、この好調な業績により同社の時価総額が4兆ドルを突破する可能性が議論されており、AI時代のリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにしています。

今後の成長戦略として、同社はAIサービスの商業化加速とクラウド容量の拡張に重点を置いています。特に、企業向けAIソリューションの普及により、既存のクラウドサービスの収益化が進むことが期待されています。ナデラCEOは「クラウドとAIがビジネス変革の必須要素」と位置づけ、長期的な成長ドライバーとしての確信を示しました。

年間370億ドルの株主還元は、Microsoftの財務体質の健全性と経営陣の株主重視姿勢を明確に示しています。これは日本企業の感覚では想像しにくい規模ですが、米国の大手テック企業では一般的な水準です。4兆ドル企業への道筋という点では、現在の成長軌道を維持できれば十分に実現可能と考えられます。ただし、重要なのは単なる規模の拡大ではなく、AI技術の実用化による実質的な価値創造です。契約残高1,000億ドルという数字は、顧客企業がMicrosoftのAI・クラウドサービスに長期的にコミットしていることを示しており、これが持続的成長の基盤となるでしょう。今後は、この巨額投資がいかに具体的な収益とイノベーションに結実するかが注目されます。