米軍AI戦闘機テスト本格化、2030年までに150機配備へ

2025年10月06日

米空軍がAI操縦F-16でベテランパイロットとの空中戦に成功
2030年までに150機、最終的に1000機のAI戦闘機配備を計画
AI戦闘機は従来機の4分の1のコストで高リスク任務に対応

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CBSが独占取材したAI戦闘機の実戦テスト

米空軍がフロリダ州エグリン空軍基地で実施している革新的なAI戦闘機テストプログラムが、CBSの独占取材により詳細が明らかになりました[1]。このテストでは、人工知能が操縦するF-16戦闘機が経験豊富な人間パイロットとの空中戦（ドッグファイト）で勝利を収めるという画期的な成果を達成しています[2]。

エイドリアン・スペイン将軍によると、AI操縦システムは複雑な攻撃任務を自律的に実行する能力を持ちながら、生死に関わる最終決定については人間のオペレーターが権限を保持する設計となっています[1]。このテストは単なる技術実証ではなく、実戦配備に向けた本格的な評価段階に入ったことを意味しています。

AI戦闘機の実戦テスト成功は、まさに軍事技術の転換点と言えるでしょう。これは自動車の自動運転技術が高速道路で人間ドライバーを上回る性能を示したのと似ていますが、その影響は比較にならないほど大きいものです。空中戦という極限状況で人間を上回るAIの登場は、戦争の性質そのものを変える可能性があります。ただし、最終的な攻撃判断を人間が保持するという設計は、技術的優位性と倫理的責任のバランスを取る重要な配慮と言えます。

大規模配備計画と経済的優位性

米空軍は2030年までに150機のAI戦闘機を配備し、最終的には1000機規模まで拡大する野心的な計画を発表しました[1]。各AI戦闘機の製造コストは2000万から3000万ドルと、従来の有人戦闘機の8000万から1億2000万ドルの約4分の1に抑えられています[1]。

この大幅なコスト削減により、米軍は従来では不可能だった大規模な戦力展開が可能になります[3]。特に高リスク任務においては、人間パイロットの安全を確保しながら、より積極的な作戦展開ができるという戦術的優位性を獲得することになります[4]。

この経済的優位性は軍事バランスを根本的に変える可能性があります。例えば、スマートフォンが従来の携帯電話市場を一変させたように、AI戦闘機は「量」の概念を変革します。1機の有人戦闘機のコストで4機のAI戦闘機を配備できるということは、単純計算で4倍の戦力投射能力を意味します。しかも、AI戦闘機は疲労せず、24時間連続運用が可能です。これは軍事戦略の根本的な再考を各国に迫ることになるでしょう。

国際的な軍事AI競争の激化

米軍のAI戦闘機開発は、中国の急速な技術進歩への対抗措置としての側面も強く持っています。空軍幹部は現在の状況を「新たなスプートニク・モーメント」と表現し、中国の技術的脅威が米国の航空・宇宙領域での優位性を脅かしていると警告しています[8]。

一方、イスラエルも「レファイム（第888部隊）」という実験的部隊を創設し、地上戦闘、ドローン、ロボティクス、リアルタイム情報をAIシステムで統合する取り組みを進めています[7]。このように、AI軍事技術の開発は国際的な競争の様相を呈しており、各国が独自のアプローチで技術革新を追求しています。

この国際的なAI軍事競争は、冷戦時代の核開発競争に匹敵する重要性を持っています。しかし、核兵器とは異なり、AI技術は民生分野との境界が曖昧で、技術移転や人材流動が活発です。これは競争がより複雑で予測困難になることを意味します。シリコンバレーの企業が従来の軍事産業に挑戦している現状も、この変化を象徴しています。AI戦闘機の開発競争は、単なる軍事技術の問題を超えて、各国の産業構造や技術政策全体に影響を与える可能性があります。

まとめ

米軍のAI戦闘機テストプログラムは、軍事技術の新時代の幕開けを告げています。技術的成功、経済的優位性、そして国際競争という三つの要素が組み合わさり、今後の軍事バランスに大きな変化をもたらすことは確実です。人間とAIの協調による新しい戦闘システムの実現は、戦争の概念そのものを変える可能性を秘めています。